片頭痛とは、その痛みや症状のために日常生活に支障をきたす一次性頭痛（頭痛の原因となるような他の疾患がない頭痛）であり比較的頻度が高い疾患になります。

日本においては、成人の約8.４％の方が片頭痛にかかっているとされています。

頭痛の前には「前兆症状」があるのか、ないのかで「前兆のある片頭痛」「前兆のない片頭痛」の２つに分類されます。前兆症状には、キラキラした光やギザギザの光が視界に現れて広がっていき見えにくくなる（閃輝暗点：せんきあんてん）のような視覚への症状が90％以上もあり、そのほかチクチク感や感覚が鈍くなる感覚症状、言葉が出にくくなる言語症状などもあります。中には半身の脱力感やめまいを感じる方もいます。通常は、前兆が5分から1時間程度続いた後に頭痛がやってきます。

頭痛が始まる前には、予感や気分の変調、眠気、疲労感、集中力低下、頚部の凝りなどの症状を経験する方もいますが、これは前兆と区別して「予兆」というようです。

片頭痛は、片側がズキズキと脈打つような拍動性の痛みが特徴的ですが、「片頭痛」の名前の由来は片側が痛むことだと言われています。しかし、実際は４割近くの方は両側に痛みを感じています。また、非拍動性の片頭痛もあります。感覚が過敏になって、いつもは気にならないような光や音、臭いを敏感に感じて不快感を覚える方が多いようです。また、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。

片頭痛のメカニズムは、まだわかっていません。脳の血管が収縮して前兆が起こって、その後血管が拡張して頭痛が起こると考えられていました。最近では脳そのものに原因があるという説（中枢起源説）や、脳血管や三叉神経に原因が見られるという説（三叉神経血管説）があります。

また、片頭痛は肉親に同じような頭痛を持つ人が多いので、遺伝的な要素があると考えられています。

対処法としては、

１　暗い、静かな場所で休む

片頭痛は、光の眩しさや音によって不快感を感じて痛みが増す場合があります。また、動くと痛みが増すので光や音などの刺激を少なくして安静にすることが大事です。

２　冷やしたいり押さえたりする

痛みを感じる所を冷やしたり、圧迫して周辺の血管を収縮させると痛みが緩和されることがあります。

３　睡眠をとる

片頭痛は眠ることで改善することがあります。仕事中に痛みが出た場合は、仕事を中断して仮眠をとるといいです。

４　カフェインを摂取する

カフェインには血管を収縮させる働きがあるので、痛み始めた時にコーヒーや緑茶などを飲むと緩和することがあります。

５　鎮痛薬を服用する

鎮痛剤は、痛みの元となるプロスタグランジンの産出を抑えて、頭痛を緩和する働きがあります。痛みがひどくなる前に、早めに鎮痛剤を服用するのも１つの方法になります。しかし、月に10日以上鎮痛薬を服用するのは注意が必要です。

このような状態が3ヶ月以上続くと、鎮痛薬の飲み過ぎにより、かえって頭痛が増えたり、新たな頭痛が起こったりする場所があります。月に15日以上頭痛があり、月に10日以上（単一成分の鎮痛薬は月に15日以上）鎮痛薬を服用している状態を薬物乱用頭痛と言います。