病院で行われる偏頭痛の薬物療法には、痛みを止める「急性期治療」と偏頭痛発作が起こるのを減らす「予防治療」があります。

偏頭痛の痛みが出た時の対処法として「痛み止め」のお薬を常用している方が多いようです。「急性期治療」はこのように、偏頭痛の痛みが起こった時に症状を抑える方法です。

一方、「予防治療」は偏頭痛発作を起こるのを減らす方法です。偏頭痛発作の頻度や症状の程度、持続時間を減らしたり、急性期治療の反応を改善させたりすることによって、生活機能を向上させ、偏頭痛による日常生活への支障を減らすことを目的になります。

急性期治療

病院による偏頭痛の急性期治療薬には、一般的に鎮痛剤やトリプタン、制吐薬が用いられ、偏頭痛の重症度に応じて治療薬が選択されます。

軽度から中等度の頭痛には、鎮痛薬または鎮痛薬と制吐薬を組み合わせて使用します。中等度から重度の頭痛、または軽度から中等度の頭痛でも過去に鎮痛薬の効果がなかった場合には、トリプタンが推奨されています。

前兆のない偏頭痛を持つ患者さんで重度の頭痛が72時間を超えて続く偏頭痛発作重積の状態や、治療の効果が見られない偏頭痛発作などの重症偏頭痛に対しては、鎮静麻酔薬や副腎皮質ステロイドなどが使用されることもあります。

いずれのお薬も、3ヶ月を超えて定期的に乱用すると、かえって薬剤の使用過多による頭痛（薬物乱用頭痛）をきたし、頭痛が悪化したり頻度が増えたりする可能性があるので注意が必要です。

予防治療

偏頭痛の発作が月に２回以上あるいは６日以上ある患者さんでは、予防治療の検討がすすめられています。急性期の治療のみでは日常生活に支障がある場合や、禁忌や副作用のために急性期治療薬が使用できない場合、急性期治療薬の効果がみられない場合、急性期治療薬の濫用が見られる場合、長く続く神経障害をきたす恐れのある特殊な偏頭痛がある場合などにも予防治療を行うことがあります。病院の先生の説明をしっかりと理解した上で最適な対処法を模索する必要があります。

しかし、これらはあくまで偏頭痛をコントロールするのが目的なので根本的に改善するものではありません。