めまいとは、身体の平衡（バランス）を保てない状態のことを指します。大まかに分けると、平衡感覚に異常が生じる部分は耳（末梢性）の場合と脳（中枢性）の場合があり、自覚症状としては「回転性」「全失神」「ふらつき感」の３パターンがあります。

回転性：景色や天井が、回るように感じます。目が回る、壁が流れるように見える、身体が傾いていく、引っ張られるようだ、と訴える人もいます。

全失神：卒倒感ともいい、失神しそう、倒れてしまいそうな感覚のことです。立ちくらみ、目の前が真っ暗になる、血の気が引く、気が遠くなるなどと表現されることが多いです。何らかの原因（糖尿病や心臓の病気、薬剤の副作用など）による血圧、血糖値の低下、脱水症状、脳や神経の病気、心の病気などによって起こると考えられます。実際に失神に至った場合には、受け身を取れずに倒れるため、重篤の頭部外傷をきたす恐れもあります。

ふらつき感：宙に浮いた、雲の上を歩くような感覚になります。足元がふらつく、よろめく、頭がふらふらすると表現する人もいます。全失神と同様にさまざまな原因で起こりますが、急に歩行が困難になったり、呂律が回らなくなったりといった症状が現れる場合には、脳血管の病気の可能性があります。

どんな人に、どんな時に現れるか？

めまいは、一生のうちに経験する人が３割に上ると言われています。若い人や高齢者でも起こりますが、全体で見ると初老期に起こりやすい症状です。

一般的にめまいで有名なのはメニエール病ですが、回転性めまいの原因として最も多いのは良性発作性めまい症です。前庭神経炎もよくみられます。これらは耳の奥（内耳）に障害が起こったもの（末梢性めまい）で、適切な治療を続ければ多くの場合は改善できます。

良性の病気ですが、乗り物酔いのひどい状態が起こり続け、嘔吐を繰り返すなど症状はなかりツラいものであることが多いです。

壮年期に起きやすい突発性難聴では、難聴や耳鳴りに伴って眩暈が起こることがあります。この病気はすぐに治療をしないと聴力が戻らないため、注意が必要です。

特に高齢者に多く問題となるのが、脳や心血管が障害されて起こるめまい（前失神、ふらつき感が多い）です。

脳卒中や一過性脳虚血発作、不整脈や狭心症などが原因で、一刻も早い対処が必要です。

心の問題でめまいが起こる場合もあります。その他、パニック障害、抑うつ、過換気症候群などがめまいを引き起こします。

早期に診断、治療が必要となる病気（脳卒中、神経の病気、心臓の病気、突発性難聴など）が隠れていることもあるので、その場合は早めに医療機関を受診することをお勧めします。回転性めまいや難聴など耳の症状を伴う場合は耳鼻科、それ以外は内科が良いと思われます。